中性脂肪が膵臓に与える影響|桂川くすもと内科・消化器クリニック|京都市西京区の胃・大腸カメラ

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中性脂肪が膵臓に与える影響

中性脂肪が膵臓に与える影響|桂川くすもと内科・消化器クリニック|京都市西京区の胃・大腸カメラ

2025年5月06日

こんにちは。少し時間が空いてしまいました。

第2回に書いた超音波内視鏡のコラムの反響が意外にも大きく驚いています。

やはり胆・膵疾患・検査についての内容がみなさんの気になるところということではないのかと

勝手に解釈しております。

というわけで、第5回は超音波内視鏡を交えた膵臓のお話をいたします。

膵臓の代表的な病気といえば、もちろん膵癌です。

膵癌の危険因子は2006年度の膵がん診療ガイドで言及されており、表に示す項目が列挙されています。

家族歴の危険度が高いことはなんとなく一般的にも知られており、心配して受診される方も少なくありません。

ここで、一般的ではないものの注目すべきは’膵嚢胞’の3.0-22.5倍’慢性膵炎’の13.3-16.2倍です。

膵嚢胞については、健診の腹部エコー検査で指摘され受診される方が多くなっています。やはり、以前に比べ、腹部エコーの機器としての能力が上がっていることが大きく寄与していると思われます。

この場合は、MRIと、初回指摘の場合には超音波内視鏡検査を推奨しております。

嚢胞と主膵管の関係、背景膵を評価することが重要であると考えています。

もうひとつの慢性膵炎ですが、これは診断はもちろん、病気の目安をつけることすら一筋縄ではいきません。

一般的には、大酒家や喫煙者でみられる膵実質の萎縮と膵機能低下をきたす疾患です。しかし、大酒家や喫煙者以外にも、膵管走行異常や遺伝子異常が原因になります。

診断は、超音波内視鏡をはじめとする画像所見(図)

組織所見を満たしたうえで、飲酒歴や既往歴、症状(みぞおちの不快感・痛み)、膵酵素異常を満たす場合に確定されますが、その診断過程は煩雑であり、長い間みぞおち辺りに痛みや不快感があるが、胃には異常は全くなく、機能性胃腸症と診断されている方も多くいらっしゃるようです。ある報告では、機能性胃腸症の約20%が慢性膵炎であったともされています。

このような現況をみて、勤務医時代に集団の中から慢性膵炎をなんとか拾い上げることはできないかと考え、超音波内視鏡の慢性膵炎所見を来す健診項目がないか、調査を行いました。

結果は、中性脂肪が唯一の関連因子で、慢性膵炎と組織学的に関連していることが示唆され、慢性膵炎の画像所見を来す方の76.5%で中性脂肪の数値異常を認めたという結果で、感度的にも良いのではと考えられました。

過食・肥満ラットで膵細胞内の脂肪蓄積の増大と、それに引き続く組織学的な慢性膵炎への変化が動物実験でも証明されており、また、糖尿病や膵癌の発症に関与するとされている脂肪膵という概念も、この結果を支持するのではないかと考えられました。

まだまだ、検討の余地はありますが、当方が臨床的に検討した結果である、中性脂肪高値が慢性膵炎と組織学的に関与しているのではないかということと、膵臓に脂肪が蓄積すると膵癌の発症につながるということ、この2つの事象は中性脂肪高値➡膵臓への脂肪蓄積➡組織学的に慢性膵炎へ変化➡膵癌発症というようにリンクするのではないかと考えても矛盾はないように思われます。

さて、当クリニックは開院から一か月が経過しました。子供時代ぶりと言ってもよいぐらい、この4月は長いひと月に感じました。

この一か月で194名の患者様が当クリニックを利用してくださり、25名の方に内視鏡検査を受けていただきました。当クリニックをご利用いただき本当にありがとうございます。

これからも、受診してくださる患者様のニーズに応えるべく、当方も日々精進し、大病からみなさまを守る地域のディフェンダーとしての鍛錬を重ねていく所存です。

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